第20回 広島県 ヒロボー様

『一生遊んでいてね。』と妻は言った。『一生遊んでいてね。』と妻は言った。

1970年代から80年代にかけてブームとなったラジコンカー(以下RCカー)。それまでのプラモデルとは違い、自分で組み立てるだけでなく意のままにコントロールしながら走らせる楽しさが、子供から大人まで幅広い年代に受け入れられた。そのRCカーよりも操縦が難しく、しかしその難しさこそが魅力となって人気を博したのがRCヘリコプター(以下RCヘリ)だ。単にヘリを浮かせることは簡単だが、思い通りに動かすとなると飛躍的に難しくなる。だが、旋回やホバリングによる空中停止など、段階を踏みながら細かな動きまで身につけていく楽しさが愛好家たちを虜にした。今回はRCヘリのメーカー、ヒロボーを訪ねた。

広島県 ヒロボー様 | 2018.6.25

広島県府中市でRCヘリコプターを手がける、ヒロボーを訪ねて。

今回訪れたのは広島県府中市にある「ヒロボー」。RCヘリの企画から設計、製造、アフターサービスまでトータルに展開している企業だ。同社の創業は1949年。来年70周年を迎える歴史ある企業だが、もともとは「広島紡績」という社名の紡績会社だった。先代社長の松坂敬太郎氏が、同氏の父親から経営を引き継いだ後、業種を転換。プラスチック製品と電気部品の製造という2つの新事業をスタートさせた。事業転換を急速に進めながら、中小企業が生き残るためには小さな分野でも良いので世界一を目指すことが必要だと考えた敬太郎氏は、RCヘリの開発に取り組むことを決意する。専門の技術者を新たに1人だけ雇い、他は社内のスタッフのみで挑戦。圧倒的に未経験の素人が多かったが、皆んなの熱意が実り当時世界で2社しかなかった難易度の高いRCヘリの技術開発に成功する。趣味を極めたい人を対象にした高級モデルをはじめ、素人でも楽しめるように組み立てやすく、飛びやすく、そして低価格のキットも投入。商品のバリエーションでも注目を集め、一躍世界的トップメーカーに上りつめる。これらの成果は、業種転換に成功した企業としてさまざまなメディアで取り上げられることになった。