第21回 長野県 アトリエpuchuco様

からくり、双子、軽井沢。からくり、双子、軽井沢。

日本の伝統的な機械仕掛けの人形、からくり人形。その起源は明確には分かっていないが、一説では「日本書紀」658年に出てくる「指南車」だと言われている。一般的に文化として流布したのは江戸時代。茶を入れた茶碗を持った人形が動く「茶運び人形」。江戸時代に生まれたからくり人形の最高峰と呼ばれる、「寿」「松」「竹」「梅」の4文字を書く「文字書き人形」など、動力を持たない時代に人形が動く様は多くの人々を魅了し大流行した。精密でありながら愛嬌を感じるからくり人形だが、今回はかつてないテイストで新たなからくり人形づくりを行なっている工房「アトリエpuchuco(プチュコ)」を訪ねた。

長野県 アトリエpuchuco様 | 2018.9.20

長野県軽井沢市でからくり人形をつくる、アトリエpuchuco(プチュコ)を訪ねて。

今回訪れたのは、長野県軽井沢市にある「アトリエpuchuco」。からくり人形やジュエリーを手がける工房だ。代表のからくり人形作家 福田英生氏は、元々はジェエリーの原型制作をしていた。クオリティの高さから数多くの作品を手がけるようになるが、次第にある思いが強くなる。「デザインはジュエリーデザイナーが考えるので、私独自のクリエイティブではありません。ゼロの状態からものづくりをしたくなったんです」。自分がつくりたいものを創る。何も無い状態から全てを考える。クリエイターとして当たり前の気持ちを優先するために、独立を決意することになる。同氏は、小さい頃から動物や絵を描くことが好きだった。そのため独立当初は、大好きな動物をモチーフにしたジュエリーをつくっていた。「デザインを考える時や趣味で好きな絵を描いている時に、この絵の一部分が動いたら、話が広がり面白いと思ったんです」。この閃きが、未知の分野であるからくり人形をつくろうと思うきっかけになったそうだ。