NAKANISHI × MASAZI × GAMI × MAXGAIANAKANISHI × MASAZI × GAMI × MAXGAIA

この異色の共演の真意を、
株式会社ナカニシの執行役員 安部仁、まさじ、ガミ、マックス・ガイア、
4名の対談から紐解いた。

安部 「きっかけとしては、私どものお客さんに海洋堂さんという世界でも有名な会社との関わりがありまして、原型師さんともお仕事をしているんですが、その繋がりでワンダーフェスティバル(以下ワンフェス)という海洋堂主催の大きなイベントに伺う機会があったんです。そこで、森雪(宇宙戦艦ヤマトに登場するアニメキャラクター)を見たんです。それはもうすばらしかった。あの何百人というコスプレイヤーがいる中で、ひときわ輝いている森雪を見たんです。撮影会ですごい人が集まっていましたので、通りがかりだったんですが遠目でスナップを撮らせてもらって、それから帰った後に1年かけて探したんです。あのレベルの違う彼女を見つけ出そうと。そこで、それがまさじさんだということがわかって、その後、広告チームを通して『単なる金儲けの企業広告としてではなく、あなたたちが表に出ていくような何かができないか』という形でお話しする機会を作ってもらい、お会いしたのが最初でした。」

まさじ 「お会いするまで、私も人づてに『コスプレを頼みたいひとがいるんだってー』って感じで聞いてたので、よくあるコンパニオンみたいなコスプレの依頼かなって思ってたんです。いいよ、いいよってノリで。で、お会いしたら、すごくうやうやしく接してくださって(笑)さらにとてもきちんとしたお話で、何か一緒に作っていけないか、という内容だったんですよね。そもそも安部さんがワンフェスで見てくれたこともビックリだったんですが、その森雪の衣装を作ってくれたのが、隣にいる、がみさんなんですよ。安部さんがおっしゃっていた、ディテールの細かさやファッションに対する思いも、がみさんもすごく持たれてる方なので、今回のこのコラボレーションは、すごい親和性が高いものが生まれるんじゃないかって思ったんです。」

安部 「こんな顔して言うのもなんですけど(笑)僕は本当に洋服が好きなんですよ。あのコスプレを見た時に、まさじさんのすごさはもちろんのこと、この衣装誰が作ったんだと思いました。カットといい靴のラインといい、これを作った人は本当にすごいぞと。それで今回の話をする上で、とにかくこの人たちの世界を崩さないように、企業人みたいなのが入って変わってしまわないようなやり方で、何かしたいとお伝えしたんです。」

ーこう言い終わった後、安部氏の情熱に火がついた。「ちょっと語らせて下さいね」という前置きに続けて、このコラボレーションに辿り着くまでの彼の思いを聞くことができた。

安部 「オタクという名がついてしまうと、どうしても周りから色眼鏡で見られてしまう。でもワンフェスに行くとわかるんですが、みんなすごく真面目にものづくりに取り組んでいる。しかも過剰品質で作っちゃっていらっしゃる。これって高度成長期の日本と同じで、車やカメラなんかの製品を、今あるものより良いものを作るために、過剰品質で作るっていう“日本人の特性”だと思うんです。だからこそ日本はこういう工業国になったんだと思っています。ところが、今、ものづくりの世界に若い人が全く入ってこないんです。ただ、この世界にはいるんです。この人たちは、ものづくりに対して本当に真面目に取り組んでいる人たちです。しかもワンフェス会場には2万人か、もっとたくさんの人がいるのにみんなすごく静かなんです。そのとき、僕はここで、ものづくりをする人たちの持つ雰囲気っていうのをひしひしと感じたんです。そこで、なんとか日本の工業界というか、同じものづくりをする世界に、本当に一生懸命ものを作っている人たちとの、橋渡しができないかと考えていたんです。若い子でもガレージみたいなところで一生懸命いろんなものを作っている人たちがいて、そんな人たちを応援できないかなと。自分たちが認められる場がないような人にも、まさじさんやがみさん、マックス・ガイアさんのような自分たちのスターを通じてだったら、認められる世界や道があることを見せられるんじゃないかって強く思ったんです。」

ーこの熱い想いに呼応するかのように、コスプレ界のスターが並んだわけだが、会うことによって印象のズレはなかったのだろうか。お互いの第一印象を聞いてみた。

安部 「マックス・ガイアさんのガタイの良さにびっくりしました!
カメラマンの方ってもっと華奢な印象を持っていたので」

マックス・ガイア 「よく言われます(笑)」

安部 「がみさんの雰囲気は、もう思ってた通り。」(一同笑)

がみ 「今回の話が来た時、僕は、あ、もう面白い!それだけだったから。まさじから、ナカニシさんのスタイルというか、企業的なイメージなんかを聞いた時に、最初はびっくりしたんですよ。でもこういう衣装を作ることに昔から携わってたら、やっぱりそういうイメージキャラクターのような何かをオリジナルで作ることに対して、やりたいって気持ちはある。だから、もう、すぐに面白いなって。」

まさじ 「そう、私、最初、がみさんにお話しをする前に、ちょっと自分でも衣装考えてみようと思って、デザインしてみたんです。したらやっぱり全然出なくって(笑)がみさんに話したら『お、いいよー』って感じですぐでしたよね。」

がみ 「もともとオリジナルでデザイン起こすのが好きなんだよね。いつか作りたいってのはずっとあったし。だからナカニシさんとのお話で、つながったって感じだったね、すごく。」

安部 「実は一番最初に見せてもらったデザイン案は、がみさんが気を遣ってくれたのか、うちのカラーを意識してくれましたよね。それを見て、がみさんの作りたいデザインはもっと違うものなんじゃないかと思って、もう一回、本当に好きなものを作ってくださいって言った経緯があったんですよね。それも素晴らしいデザイン画なんです! 一度みんなに見せたいぐらいの。」

がみ 「うれしいです」

ー実際、今回の衣装にはナカニシ・オリジナルであるにもかかわらず企業ロゴなどナカニシとわかるアイコンは全く入っていない。
これは一体どうゆうことなのか。

安部 「とにかく最高のビジュアルを作ることが、最大の目的でしたから、そういうのはやめてって言ったんですよね。がみさんの作りたいものを作ってほしくて。」

まさじ 「そうですよね、私も(今回のビジュアルの)掲載誌を見た時に『え!!』って思いました。ナカニシさんの広告があまりにも目立っていて、このページだけなんか違う!っていう驚きがありました。」

マックス・ガイア 「びっくりしたね。撮影をして、上がったビジュアルだけを見ていた段階では『よし、うん、カッコいい仕上がりになったぞ』と思っていたけど、冊子になってページをめくると、あの青いところに来て異世界のようだった。で、確かに目立つなぁ!って。」

がみ 「それで、成功なんでしょ。」

安部 「そう。」

まさじ 「あの形を見て、私、安部さんのやりたいことが『あ、こういうことだったんだ』って初めて理解できたんです。」

安部 「それで理解してもらえたなら、すごく嬉しい。だって、保守的な広告を見て、若い人たちがこの業界に入りたいと思うわけがないんですよ。広告としてはチャレンジですよ。だけどそういうことじゃない。しょっぱなから、あのインパクトで、みんなの度肝を抜いてやりたかったんです。」

まさじ 「どーーーーん!」

マックス・ガイア 「ほんとインパクトありましたからね。」

ーコスプレ界の3人の勇者でこそなし得る、強いビジュアル表現が誕生した瞬間である。今回の制作に至るまでの、この3人のバランスについて少しさかのぼって聞いてみた。そもそも、この世界に興味を持ったのは何か共通項があるのだろうか。

マックス・ガイア 「基本オタクだよね、やっぱり。」

まさじ 「うん、みんなオタク。」

マックス・ガイア 「ゲームや漫画、アニメが好きだっていうのが根底にはある。」

がみ 「まさじだったらそのキャラクターになってみたいとか、俺はこのキャラクターを作ってみたいっていう、ね。」

まさじ 「そうそう」

マックス・ガイア 「僕、最初風景とか花とか撮ってたんです。モデルさんはいろいろと難しくて。ですが、コスプレイヤーさんとカメラマンとなら需要と供給のバランスがあるんですよね。コスプレイヤーさんは作ったものを美しく残したいっていうのがあるし、僕らもそういう良いものを作品として残していきたい。それがまず前提にあって、さらに基本的な、アニメがもともと好きっていうのが根底にあるから、撮ってみると普通のモデルさんよりも楽しいんですよね。そういう人と人の関わり合い、コミュニケーションっていうのが面白いんですよ。」

まさじ 「最初はみんなそうだと思うんです。趣味で一人でやっていて。だけど私は、一人だったら着たい衣装も全然作れないし、撮りたい写真も撮れない。だから2人にすごく下駄を履かせてもらってると思うんですけど、多分こういうところでぶつかっているコスプレイヤーってたくさんいるんじゃないかな。なかなかこのクオリティーまでいくツールがないんですよね。だからこういう垣根を越えられるといいのにな、って思います。次のステップにいくにはコラボレーションなんですよね。」

マックス・ガイア 「コスプレ界もグレードが上がってきたように思っていて、我々はものづくりへの意識が高い部類だと勝手に思ってるんですけど、だからこそ一人でやっていくことに、段々と限界を感じるってことがある思うんです。コスプレイヤーさんとしてバランスとかスタイルが良い人も限られているし。だからこそ、コラボレーションっていうのを、僕はすごく大事にしているんです。どんな仕事でもそうだと思うんですけど、そんな関係性がうまくいって、だからこそクオリティーの高いものができるんじゃないかって思うんです。リスペクトしているがみさんが作ってくれる衣装なら間違いないし、これをまさじさんが着ることで、さらにすごいものができるのを知っているから、撮りたいって思うんですよね。」

がみ 「そういうのはあるよね。俺もガイアさんが撮ってくれるなら心配ないねって思ってる。」

マックス・ガイア 「そう、僕の日程調整がなかなか合わなくて悪かったんだけど、今回の話を聞いて、このコラボレーションなら、やらざるを得ないだろうと。そう思わせてくれる何かがあるんですよね。」

がみ 「だからかな、最近こういうスタイルが少しずつ増えてきてるよね。コスプレイヤーと造形師、カメラマンっていう。」

マックス・ガイア 「そう、その3セットで名前を聞くことが、この数年でグッと上がってきましたよね。昔は接点がなかなかなかったものが、SNSとかで割と簡単に繋がれるからね。垣根は少しずつ下がってるように思えるね。僕らだったら、恐れ多くて声かけられないって思うような人にでも、今の人たちは案外あっけらかんとしてるし。」

安部 「そうですね、おっしゃる通り若い方たちは軽く垣根を越えてきますよね。そうやって同じ価値観を持った人たちと知り合うツールができたということは、とても素晴らしいことだと思います。
今回、このプロジェクトで出会った、この3人の持ってる信頼感を、僕はひしひしと感じています。同じ価値観を持っているっていう安心感の上に成り立ってる、お互いの強い信頼感がありますよね。個人でやっているコスプレイヤーを見て、ああこれが限界なんだろうと感じる人もいる。そう思うと分業というスタイルでも、お互いの信頼感ってやっぱり大切なんだと思います。」

マックス・ガイア 「作ることが好きなんだなって感じたり、コスプレをやりたいっていう情熱は伝わるんだけど、写真家として見た時に、クオリティーとして『うん?』っていうことがありますからね。」

安部 「そうですね。あの情熱はすごいですね。だって何もかも自分で作って幕張まであの荷物を持ってきて、たまにこんなの(数mあるような長いものを示すジェスチャーをしながら)持って来ている女の子とかいますからね。ただやっぱりいくら情熱があっても、一人でやるってことには限界がある。だからこの3人のコラボレーションを見ていると、これは多分日本のトップレベルだって思うんですよ。」

まさじ 、マックス・ガイア 「いやぁ、ありがたい。」

安部 「写真も何千カットと撮るって聞きました。」

マックス・ガイア 「はい、デジタルなんで基本、数は撮るようにしていますね。」

がみ 「写真なんてウン百枚撮っても、気に入ったものは1枚だからね。」

マックス・ガイア 「ちょっと角度が変わっただけで全然変わるしね。表情とか、仕草とか、そういったちょっとした違いも、コラボレーションで“絆”みたいなものがあると、撮っている最中も打てば響くような感じで、やっててすごく安心感がありますね。」

まさじ 「今回のナカニシさんとのコラボも、作り上げていく過程みたいなものをすごく尊重してくださるのが伝わっていたので、企業さんとの仕事だけど、実は私すごく安心感がありました。今までの経験だと、コスプレっていう、何て言うか“上澄み”だけを仕事として依頼されている感じがあるんですけど、今回は、コスプレに対するリスペクトもあるし、実際現場を見てくれて、どう感じたかっていうのも1から10までこちらに投げかけてくださるから、逆に表現することに集中できました。安部さんって、なんでコスプレしてないのに、そんなに気持ちがわかるんだろうって思っています。」

安部 「ははは」

マックス・ガイア 「たとえばフォロワーってまさじさんにはもちろん大勢いて、それはまさじさんのことがすごく好きなんだけど、今は少しアイドル化しているところがあるんですよね。作り上げるものがどうであれ、たとえば顔が好きだとかっていう上澄みっていう意味なんですけど。そういうことが多い中で、作品づくりとか、がみさんの衣装や制作の行程までを大切にしてくれるっていうオファーは、すごく嬉しいことですよね。表面だけじゃない、僕たちの世界を理解してくれているようなお話だな、と。」

ー貴重な4人の対談は、どうやらなるべくしてなったようだ。そこで、がみ氏に衣装についてさらなる追求をしてみた。
このナカニシ・オリジナルの衣装に対するインスピレーションの根源はなんだったのか。

がみ 「僕は、もともと人形の服を作る仕事をしてるんです。それって1/6サイズなんですけど、よくよく考えたら、こんなにちっちゃく作るんだから、大きくならもっと作り込めるんじゃないかって、それがまず最初。」

安部 「へぇなるほど。いや実は、僕は、この仕事が終わったらがみさんをファッションデザイナーとしてプロモートしたいっていうぐらいに思ってたんですよ(笑)このファッションセンスは素晴らしいって。細かいラインとか見せ方が、とにかく本当に素晴らしい。」

マックス・ガイア 「そう、デザイン画もすごいですしね。」

がみ 「(照れ笑いしながら)いやぁ、それは嬉しいなぁ。まさにそこだからね。こだわってるのが。」

まさじ 「そう、森雪の衣装をお願いした時も、がみさんが『シワが、シワが』ってすごく言うんですよ。着てる本人はわからないのに。その細かいラインのこだわり方がすごいんですよね。」

がみ 「だってアニメのキャラクターに関しては、それに近づけたいって思ったらやっぱりシワは取らなきゃいけない。だってそれは無いものだから。ただ、存在感を写真とかでも残したい場合は、適度にシワが必要ってこともある。必要なシワとそうじゃないシワってあるんだよね。」

マックス・ガイア 「シワがないと不自然ってことがあるからね。ただ突っ立っているツルっとした被写体がいいかっていうと、そうじゃないというか。」

がみ 「うん、そう。」

マックス・ガイア 「写真としても、体をひねった時に入るシワや崩れたラインがいいってこともあるからね。あえてひねってもらったりしますよね。」

安部 「やっぱり、そのこだわりがあってこその今回の衣装。完璧ですっ!!」(一同笑)

ー衣装について、こだわったポイントや気に入ってるところを聞いてみると、シンプルに一言だけ返ってきた。

がみ 「いや、全部。」

安部 「こういう話の仕方というか、3人のやりとりを聞いていると、これが今の新しい職人の世界なんじゃないかって気がするんです。昔は徒弟制とかあって怖い親父さんがいて、有無も言わさず仕事を教え込んでいく。それに異議を唱えようが、“そういうもんだ”と言われてしまう風潮が工業の世界にはまだ残ってるから、若い人に響かない。そうではない。こんな形で同好の士が集まって、自由に意見を出し合いながらお互いの信頼関係を築きあって、何かを作っていくのが理想なんだっていうことを、新しいものづくりの形として、若い人たちにも、頭の固い大人たちにも伝えたいというのが僕の隠れた目的なんです。だから、まずはビジュアルとして飛び抜けてすごいものを作りたかったんです。そこで、みんなが反応して、興味を持って、話題になっていく。その時に、この3人の関係性や空気感っていうのが伝わっていけば、色眼鏡で見ているような大人たちも見方が変わるだろうし、若い子たち自身にも『いいな』とか『素敵な世界があるんだ』って感じてもらえる気がするんです。」

まさじ 「誤解される部分はありますもんね、こういうカルチャーって。オタクって言われるものって、先入観にずっと晒されてるんです。自分が大好きなものがネガティブなものだっていう風に考えてみんな暮らしてきているんですよ。好きだってわかった瞬間から。自分でも。それを安部さんのように肯定してくれているっていうのが、すごく嬉しいですよね。」

安部 「そう、自分の好きなものがネガティブなものだと思わなきゃいけないって、とっても悲しいことだと思うんです。だからこの世界をメジャーにしたいんです。この世界っていろんな分野があるじゃないですか。ワンフェスやなんかでも興味ないって思っていたって、あるコーナーで急にハマる何かがあったりする。」

がみ 「そう、誰もがもつツボってのがあるんです。そういう場に行くと、そのツボってのに必ず出会うんです。」

一同 「そうそうそう!」

安部 「そんな人たちを、みんな認めてあげたい。宝探しみたいなもんですよ。ほら、こうやって喋ってたって変な人なんかいないでしょ」(一同笑)

まさじ 「昔は変な人もいましたけどね(笑)」

がみ 「いや、今もいる(笑)」

マックス・ガイア 「いろんな人がいるわけですよ。コスプレの世界って広めたいってところで言うと版権なんかの問題もあるから、今回のような全部オリジナルで作っていけるっていうのは堂々と言えるし、どこへでも広めていける。こういう仕事に関われるっていうことは、僕らにとってもプラスですよね。」

安部 「なるほど~。」

まさじ 「そうですね。コスプレが企業に関わるとキャラクター先行になりがちなんですけど、そうじゃなくて、作るものに焦点が当たっているのが、この企画のすごいところですよね。
このキャラクターに名前や答えがあるわけじゃない。がみさんの中では何かあるかもしれないけど。」

がみ 「名前はあるよ。『ナカニシまさじ』」

(一同爆笑)

まさじ 「でき上がったもの、その結果に対して、きちんと見てくれているっていう現象がレアでしたよね。アニメとかコスプレっていうだけじゃない、ものづくりへのこだわりに徹底していますから。」

がみ 「ものづくりの開発だとか発明の原点ってのは、やっぱりどこか意外なものと意外なものの組み合わせだと思うんだよね。衣装だって、このデザインならどこかにスピンドルを付けたりしがちなんだけど、一切そういうのはやめて、ナカニシさんの製品をイメージさせないんだけど、イメージしちゃうような、ね。」

安部 「そうそう、これができる人だから、この話ができるんですよ!この未来感とセンスの良さだけで、ナカニシのブランドイメージは上がるんです。だから100%任せてお願いしたんです。」

がみ 「僕、デザイン画描いた時にスピンドルのイメージもちょっとあったんです。でも、これいらないって言うだろうなって外したんですよね。」

安部 「その通りです(笑)」

まさじ 「がみさんにいただくスケッチって、たとえばディテールをこうすることでこう見せられるってことは書かれているんですけど、じゃあそれが何かを表しているとか、いつもそこじゃないですもんね。そこが私はすごく好きです。」

がみ 「そう、そうなんだよ。」

マックス・ガイア 「僕、がみさんのデザインでいつも好きなのは、靴です。足元見るって言葉もあるように、靴がおろそかな人って、コスプレでもまぁ多いんですけど、がみさんのって足まですごくしっかり作ってある。そういうこだわりがありますよね。」

安部 「靴って難しいですからね。」

マックス・ガイア 「写真も同じで、僕もまさじさんに、こう立ってとかひねってとか言うんですけど、自分の目から見て、バランスとしてこうした方が良いってことは言わないとね。」

まさじ 「そう、はっきり言ってくれるんですよね。で、撮り終わった時に、あ、キレイに見えてるって思うんです。ガイアさんとがみさんのお二人は、すごくものづくりに特化してますよ。表現とか気持ちとかそういうんじゃなくて、こうやって撮ればこう見える、このディテールにすればシャープになる、そういう突き詰め方が、私もすごく好きなんです。気持ちの部分って、私たちの立場からすると、見る人が感じてくれればいいと思うんです。」

ービジュアルの撮影の時も痛感した。あくまでもどう見られるかにこだわり続ける3人の意識が一致しているからこそ作り上げられたものが感動を呼ぶんだと。相手のプロフェッショナルをリスペクトしつつ、自己のこだわりは突き詰め、ぶつけられる信頼感みたいなもの。そこにものづくりを向上させるヒントがあると感じた。だからこそ彼らの創造は止まらない。

がみ 「作って終わりじゃないからね。まさじが着て、ガイアさんが撮影して、ってなるとこまでだから。
じゃあ僕は、今度はこれ着て戦えるようにしたいとかね(笑)」

まさじ 「え、それちょっと着てみたい。」

がみ 「だからでき上がっちゃうと、今度その次を目指したくなる。『変身!』みたいな。」

マックス・ガイア 「男は、変身が好きだからね(笑)」

がみ 「前に、僕が動く造形を作った時に『次世代コスプレ』って言われたんだよね。光るなんて今は当たり前で、これから動くものもどんどん出てくるわけで。そしたら、また今度次世代を狙うとしたら、変形と合体しかない。」

まさじ 「変形と合体!」

安部 「要はトランスフォーマーですね。」

がみ 「やりたいねー。このプロテクターの後ろに収まっていてスィッチ押すと、ピシャンっと出てくる。」

まさじ 「やりたいっすね。」

がみ 「絶対無理だけどね(笑)」

まさじ 「気持ちが大事!」

がみ 「そう。作りたいって、まず最初に思うことが大事だから。そうすると、ある日突然アイデアがひらめく。できないって思ってたことができちゃったりする。作りたいものをどんどん寝かしていくんだよね。ずーっと。これ、何ヶ月もかかるかなぁって思ってたものが、ひらめいたら1日でできたりする。簡単に作れる方法が、突然わかったりする。だから、常に何かものを作ることを『これどうやって作ろう、素材は何にしよう、切り方、削り方はどうしよう』そんなことばっかり考えてる。」

安部 「これは、車メーカーにしたって電化製品にしたって全く同じです。高度成長期にカリスマといわれた社長たちも、同じことを言ってますよ。セレンディピティって言われるひらめきと、ものづくりの理論。理論的な裏付けがないとダメですから。がみさんはプロとしてそれを理解されている。それと、こういうことは一人ではできない。」

がみ 「僕、作り方のセオリーとかって全部独学なんですよね。今は作り方とかインターネットで見ることができるけど、僕は見ないようにしてる。写真とかでき上がったものだけを見て、こうやってできないかなとか、自分だったらこう作るな、とか考える。だから多分、他の人が作るコスプレ衣装とはまた違うものになると思うんだよ。」

マックス・ガイア 「僕も同じ。写真独学だから、人の写真に影響を受けないように、自分のインスピレーションってのを大事にしていましたね。いいものを撮りたいとか、自分のもの表現したい、ってところからですからね。他のものを見ちゃうと引っ張られちゃうんですよね。最近でこそ、皆さんが欲しているものを見たり考えたりしながらコラボレーションするってことも大事にしてるんですけど、それはコミュニケーションのためですよね。」

安部 「独学の強さって、やっぱりオリジナリティを出す基本だと思うんです。いい学校出たとか、どんな教育を受けたとか、そんな子たちって、上っ面というかあたりはいいんだけど、なんていうか、地の底から湧き上がってきて人の心を打つようなものを作り出す力ってないなぁとつくづく思うんです。で、今、表に出なくて、ものづくりをやっているいわゆるオタクという人たちに(オタクって言い方は好きじゃないんだけど)是非もっともっと自信を持って欲しいんですよ。5年、10年自分の思いで、独学だけで一流の人間になれるんだっていう、ここに見本がいるわけですよ。それを僕はとにかく伝えたい。」

ー夢は膨らむばかりだ。それぞれのポジションから、次のステップを見据えている。最後に一人ひとりの未来について思いを語ってもらった。

マックス・ガイア 「みんなとにかく楽しんでやっているんです。こうしなきゃいけないっていうことは何もなくて、僕なんかも好きなものを撮るってことだけでやっているんですよね。そういう活動ができる場所で、みんなが嫌な思いをしないで好きなことを突き詰めていければいいな、って思います。」

まさじ 「最近思うのは、オタクの文化が今、日本発信じゃなくなってきている。海外に食われちゃってるところがあるんですよ。私はそれを取り戻したいって思っています。私ができることは、もちろん衣装も作れないしカメラも撮れないし、何かそういうものを発信することだって思います。だから私はこのコラボレーションをしていって、がみさんの衣装がすごいとか、ガイアさんの写真が面白い、って言われるようなものを世に出していきたい。そうすることで、日本にいるコスプレイヤーが(緩やかな死を遂げているなんて言われてるんですけど)見られ方が変わっていくと思うんです。好きなことを、好きなようにやりたい子たちに向けて、『でもこれってダメって言われるし』とか、周りの目を気にしてる子たちがいると思うんですけど、やってもいいんじゃない、わたしはやってるよ、っていうのを見せて伝えたいと思っています。」

がみ 「僕のポジションとしては、、、衣装を作っても最終残るものとしては作品なんだよね。その作品っていうのも、今までは残るコスプレって言ったら写真だった。けどこれからは動画になってくる。そうすれば、頑丈な服を作らなきゃとか、動くものにしないといけないとか考える。コスプレ業界には、多分頭打ちはないと思っていて、だからこそ同じことを繰り返しててもしょうがないんで、衣装を作るのとは別に、その新しいアイデアを作っていくことが大事かな。」

安部 「3人の話を聞いていて思ったんですけど、海外出張行ってよく感じるんですが、こういうコスプレの世界でアジアの子たちの取り組み方は、日本のような変な偏見がない分、勢いがある。次世代って考えた時に、やっぱりこのアジアの人たちって面白いなっていうのがあって、まさじさんが、内にこもった人たちに向けて『やってもいいんだ』って伝えてあげたいっておしゃってたように、その外の世界から、僕らのような応援する大人がいるんだよってことを単純にわかってほしいんですよ。多分、外の大人を敵視している若い子もいると思うんだけど、自信を持ってほしい。応援するから、そういう世界があることを知ってほしいって思っています。そして世界中の人に『やっぱ、日本人ってカッコいいや』って思わせて欲しいと思っています。」

テン年代を代表するクラブイベント「電刃」にてミスDENPA!!!コンテスト優勝者となる。それを機に、同人誌執筆活動の傍らで行っていたコスプレを本格化させ、精力的な活動を開始。現在は、中国国際動漫節2015・日本代表コスプレイヤーとして現地でのステージパフォーマンスや、日露青年文化交流事業2016日本代表コスプレイヤーとしてロシアを訪問。写真家・古賀学氏の手掛ける写真集「水中ニーソ」へのモデル参加。日本の現代美術家・村上隆氏のプロダクト(6HP/シックスハートプリンセス、五百羅漢図…等)にコスプレイヤーとして携わる等、国内外問わず活動の場を広げる。

1967年名古屋生まれ 本業はアクションフィギュアの衣装製作業。そのクオリティは某香港の超有名フィギュアメーカーの目にとまり、ハリウッド映画フィギュアの衣装監修を手掛けるまでに。コスプレ衣装製作は、とある映画に使用した衣装を間近に見て人間の衣装の製作に目覚める事となる。単にアニメやゲームの設定通りの製作ではない「おしゃれ」や「遊び心」を取り入れ、独自の表現で有名イベント等に作品を持ち込み批評されることが一番の楽しみ。コスプレ衣装の概念を外し製作したメタルギアの雷電は電動可動発光で公式アカウントで取り上げられ世界のカルチャーニュースになるほど、固定概念に捕らわれない素材選びや製作法で次世代コスプレと言われるまでに至る。

趣味でコスプレを撮り始めて十数年。独学による人物の本質を捉えたダイナミックな構成と緻密なレタッチに定評がある。コスプレ以外の人物や風景撮影も幅広く行い、それらのノウハウもコスプレ撮影にフィードバックされている。コスプレイヤーへのポージング指導も好評。現在、作品としてのコスプレ撮影の他、世界的なコスプレSNSサイトCure WorldCosplayが主催するイベントやコスプレステージのオフィシャルカメラマンとして東京を中心に活躍中。また、2016年には海外の創作系アートイベントにフォトグラファーのゲストとして初めて招待され、ワークショップを行う等その活動の幅を広げている。