第7回 山梨県 公益財団法人 山梨文化財研究所様

いにしえの姿に思いを馳せ、手を尽くして次世代へ渡す。いにしえの姿に思いを馳せ、手を尽くして次世代へ渡す。

私たちが暮らしている土地の地中には、石器や土器、貨幣など、先人たちが使用していたさまざまな遺物が埋蔵されていることがある。それらは日々の生活や文化的活動を行う際に生み出されたもので、当時の歴史を知る貴重な資料。しかし出土された瞬間から劣化は始まり、何も手を加えなければやがて朽ち果ててしまう。これら国民的財産とも言える遺物を、文化財として保存、修復しているのが文化財修復士だ。今回は発掘された出土品の保存、修復および分析を、山梨文化財研究所で行っている人物に会いに行った。

山梨県 公益財団法人 山梨文化財研究所様 | 2016.7.15

山梨県笛吹市で、出土品の保存、修復を行っている文化財研究所を訪ねて。

伺ったのは、山梨県笛吹市にある「公益財団法人 山梨文化財研究所」。研究員として勤務する藤澤明氏は、同所に集められた文化財の保存、修復を行っている。文化財という言葉に馴染みはあるが、何を基準に文化財とみなされるのか?その疑問を最初に投げかけると「文化財と一般的な物の間に、物質的な違いはありません」という答えが返ってきた。発掘された物を文化財と考えるか、単なる鉄くずと捉えるかは研究者などの判断に委ねられる。人間の考察が加わって初めて文化財が生まれるというわけだ。しかし現在は価値が無くとも、後世には価値が出る可能性がある。「だからこそ、出来る限りより多くの物を保存、修復して残したいと思っています」。藤澤氏は、そう強い思いを抱いて、日々出土品と向かい合っている。