第14回 静岡県 株式会社ウッディジョー様

木製模型ファンの心を掴み続ける、ものづくり。木製模型ファンの心を掴み続ける、ものづくり。

国内模型出荷額の全シェアの大半を占め、模型王国としてその地位を築いている静岡県。そのルーツを探ると、江戸時代にまで遡ることになる。徳川家康の居城であった駿府城の造営や、徳川家光が浅間神社を造営するに際し、各地から優秀な宮大工たちが集められた。工事終了後もその宮大工たちが静岡に永住したことで、建具や家具、仏壇などの木工産業が発展。やがて木製模型の誕生へとつながっていく。戦前から戦後のプラモデルが登場するまで、静岡県の各模型会社が木製模型を販売し、人気を博していたのはそういった理由からだ。今回は、今でも木製に特化した模型メーカーとして、商品の企画・開発から設計、製造まで手がける「株式会社ウッディジョー」に伺った。

静岡県 株式会社ウッディジョー様 | 2017.9.11

静岡県静岡市で木製模型を手がける、株式会社ウッディジョーを訪ねて。

今回訪れたのは、静岡県静岡市にある「株式会社ウッディジョー」。同社は2002年に創業した木製模型メーカー、母体は模型会社に部品を納めてきた木の加工会社だ。「戦前から戦後にかけて、学校教育としてゴムの動力でプロペラを回転させて飛ばす飛行機の模型が教材として使われていました。加工会社では、多い時には年間110万機を納入したこともあります」と代表の常木則男氏は述懐する。模型といえば木製の時代があったが、素材の技術発展によりプラスチック模型が流行りだした。時期を同じくして、国内で唯一木製帆船を手がけていた企業が倒産。常木氏は「木製模型の文化を絶やしてはいけないという」という思いから、その会社の事業を継承することを決意する。しかし、周りは全員反対。「日本人が日本の船をつくれないのは可哀想という思いが、私は強かったんです」と常木氏は言うが思いだけでは会社経営は難しい。どこに勝算があったのかを訊ねると「成るようにしかならないから、前を向いて歩いただけですよ」とさらりと答える。だが話を聞くにつれ、木製模型への並々ならぬ情熱とお客様を大切にする気持ちがあったからこそ、会社を軌道に乗せることができたのだと言うことを知ることになる。