第16回 大阪府 有限会社ナカガワサイクルワークス様

これで完成したなんて言われへん!これで完成したなんて言われへん!

人力で動く最速の乗り物と言われているロードバイク。圧倒的なスピードで駆け抜ける爽快感は、一般的な自転車では味わえない魅力だ。そして、機能を高めるために極限まで無駄を排除したデザインはとても美しく、芸術の域に達していると言っても大げさではない。このロードバイクをつくり上げるのが、フレームビルダーと呼ばれる職人である。今回は設計から溶接、仕上げまでハンドメイドにこだわり、一人ひとりに最適な一台を丁寧につくり上げている、有限会社ナカガワサイクルワークスを訪ねた。

大阪府 有限会社ナカガワサイクルワークス様 | 2018.1.30

大阪府寝屋川市でロードバイクをつくっている、有限会社ナカガワサイクルワークスを訪ねて。

今回訪れたのは、大阪府寝屋川市にある「有限会社ナカガワサイクルワークス」。1983年にスタートし、以来多くの競技用のロードバイクをつくり続けている工房だ。同社代表であるビルダーの中川氏は、元々はロードレースの選手。18歳の時に友人が所有していたロードバイクを借りて初めて乗ったことがきっかけとなる。「生まれて初めて乗ったら、乗り慣れている友人よりも速く走ることができて、その気になったんですよ(笑)」と、中川氏はロードバイクとの最初の出会いを話してくれた。その後、雑誌でヨーロッパのロードレース選手の写真を見て、そのカッコ良さに一瞬で魅了され、本気で選手になることを決意する。しかし20歳の頃に交通事故の被害に遭う。選手生命を絶たれるほど致命的では無かったが、過酷な練習を何年も続けられる身体ではなくなったことを悟り、選手を続けながらビルダーへの転身を視野に入れ始める。「自転車が本当に好きだったからずっと関わりたくて」というのが理由だ。中川氏のこの強い愛から生まれた自転車が、その後多くの人から賞賛を得ることになっていく。