第27回 和歌山県 ハヤシ・シザース様

普通じゃない。だから普通じゃないことができる。普通じゃない。だから普通じゃないことができる。

厚生労働省の平成29年度衛生行政報告によると、理容室の店舗数は12万956店、一方美容室は24万7578店となり平成において過去最高を更新。就業者数のデータを見ると理容師の数は22万1097人、美容師は美容室数と同様に過去最高となる52万3543人と発表された。理容室と美容室の店舗数では大きな差があるが、理美容産業として捉えると、年々成長し続けている業界だということが分かる。この理美容業界で働く理容師と美容師たちにとって欠かせない道具がハサミ。私たちが日常使っているハサミとは全くの別物で、1本がとても高価なのが特徴。数に決まりはないが最低でも1人3~4本のハサミを所有し、用途に合わせて使い分けている。今回は、この理美容師用ハサミを製造・販売しているハヤシ・シザースを訪ねた。

和歌山県 ハヤシ・シザース様 | 2019.8.5

和歌山県和歌山市で理美容師用ハサミを製造・販売している、ハヤシ・シザースを訪ねて。

今回訪れたのは、和歌山県和歌山市にある「ハヤシ・シザース」。1992年の創業以来、理美容師向けのハサミを一貫して自社で製造、販売している企業だ。代表の林氏に理美容師のハサミを手がけるきっかけを伺うと、予想外の答えが返ってきた。林氏の実家は自転車の販売・修理を営んでおり、実は学校を卒業後は迷うことなく家業を継いでいたという。「小さい頃から父親の仕事を見ていて興味があったので、自分の意思で決めました」。しかし楽しみながら仕事を覚えていた矢先、不慮の事故に遭ってしまう。「約3年半入院するほどの大きな事故でした。命は助かりましたが、足に障害を負ってしまったんです」。そんな林氏の姿を目の当たりにした父親は、不自由な体でも出来る仕事はないだろうかと考え、知り合いの会社を林氏に紹介する。「うちの子の体がこんなになってしまったので雇ってくれないかと頼んだそうなんです。それが、ハサミの製造をする会社でした」。